事業再構築補助金はどのような費用に使えるの?
(最終更新日:2023年1月17日)
以前の記事では事業再構築補助金の活用イメージを業種別に紹介しました。
では、具体的にどのような費用や経費が補助対象になるのか?
人件費は?
パソコン代は?
家賃は?
どのような費用が事業再構築補助金の対象になるのか、これもまた要件が複雑でわかりにくいです。
基本的な考え方としてはこうです:
- 新しい事業をやらなかったとしても発生する費用は対象外です
上で登場した人件費、パソコン、家賃は新しい事業をやらなかったとしても発生する費用なので補助金の対象にはなりません。
今回の記事では補助対象になる費用とならない費用の具体例を紹介します。
事業再構築補助金をどのようなものに使うか、イメージしやすくなると思うので見る価値ありです!
事業再構築補助金の対象になる費用・ならない費用
対象経費の区分
建物費
概要
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- 専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費
- 補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費
- 補助事業実施のために必要となる賃貸物件等の原状回復に要する経費
- 貸工場・貸店舗等に一時的に移転する際に要する経費(貸工場・貸店舗等の賃借料、貸工場・貸店舗等への移転費等)
注意事項
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- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令における「建物」、「建物附属設備」に係る経費が対象。「構築物」に係る経費は対象にならないので注意が必要(第6回目公募で追加)
- 建物の単なる購入や賃貸は対象外
- 入札・相見積もりが必要
- 上記2,3の経費のみの事業計画では申請できない。事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応の規模の投資を行うことが必要
- 一時移転に係る経費は補助対象経費総額の1/2を上限として認められる。また、補助事業実施期間内に、工場・店舗の改修や大規模な設備の入替えを完了し、貸工場・貸店舗等から退去することが必要
- 建物の新築に要する経費は、補助事業の実施に真に必要不可欠であること及び代替手段が存在しない場合に限り認められる 。「新築の必要性に関する説明書」の提出が必要(第6回目公募で追加)
- 事業計画の内容に基づき採択された場合も、「新築の必要性に関する説明書」の内容に基づき、建物の新築については補助対象経費として認められない場合があるので注意が必要(第6回目公募で追加)
対象になる費用の例
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- 建物の建築・改修費
- 建物の撤去
- 賃貸物件等の原状回復
機械装置・システム構築費
概要
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- 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工 具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費
- 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用に要する経費
- 1又は2と一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費
注意事項
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- 減価償却資産の耐用年数等に関する省令における「機械及び装置」、「器具及び備品」、「工具」に係る経費が対象。「構築物」、「船舶」、「航空機」、「車両及び運搬具」に係る経費は対象にならないので注意が必要(第6回目公募で追加)
- 機械装置又は自社により機械装置やシステムを製作・構築する場合の部品の購入に要する経費は「機械装置・システム構築費」となる
- 「借用」とは、いわゆるリース・レンタルをいい、交付決定後に契約したことが確認できるもので、補助事業実施期間中に要する経費のみとなる。したがって、契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業実施期間分が対象となる。ただし、リースについては、中小企業等がリース会社に支払うリース料から補助金相当分が減額されることなどを条件に、中小企業等とリース会社が共同申請をする場合には、機械装置又はシステムの購入費用について、リース会社を対象に補助金を交付することが可能(第6回目公募で追加)
- 「改良・修繕」とは、本事業で新規に購入又は本事業のために使用される機械装置等の機能を高めることや耐久性を増すために行うものをいう
- 「据付け」とは、本事業で新規に購入又は本事業のために使用される機械・装置の設置と一体で捉えられる軽微なものに限る
- 3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合には、中古設備も対象になる
対象になる費用の例
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- 設備、専用ソフトの購入やリース等
- 機械装置の運搬費
技術導入費
概要
本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費
注意事項
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- 知的財産権を所有する他者から取得(実施権の取得を含む)する場合は書面による契約の締結が必要となる
- 技術導入費支出先には、専門家経費、外注費を併せて支払うことはできない
専門家経費
概要
本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
注意事項
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- 本事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要である場合は、学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費を補助対象とすることができる(以下の謝金単価に準じるか、依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書を取得することが必要(ただし、1日5万円が上限となる))
- 専門家の謝金単価は以下の通りとする(消費税抜き):
- 大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師等:1日5万円以下
- 准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ等:1日4万円以下
- 旅費は、事務局が定める「旅費支給に関する基準」のとおりとする
- 専門家経費支出対象者には、技術導入費、外注費を併せて支出することはできない
- 応募申請時の認定経営革新等支援機関等に対する経費や事業計画の作成を支援した外部支援者に対する経費は、専門家経費の補助対象外とする
運搬費
概要
運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
注意事項
購入する機械装置の運搬料については、機械装置・システム費に含めることとする
クラウドサービス利用費
概要
クラウドサービスの利用に関する経費
注意事項
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- 専ら補助事業のために利用するクラウドサービスやWEBプラットフォーム等の利用費であって、自社の他事業と共有する場合は補助対象とならない
具体的には、サーバーの領域を借りる費用(サーバーの物理的なディスク内のエリアを借入、リースを行う費用)、サーバー上のサービスを利用する費用等が補助対象経費となる - サーバー購入費・サーバー自体のレンタル費等は対象にならない
- サーバーの領域を借りる費用は、見積書、契約書等で確認できるものであって、補助事業実施期間中に要する経費のみとなる。したがって、契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業実施期間分のみとなる
- クラウドサービス利用に付帯する経費についても補助対象となる(例:ルータ使用料・プロバイダ契約料・通信料等)
- ただし、あくまでも補助事業に必要な最低限の経費が対象。また、パソコン・タブレット端末・スマー トフォンなどの本体費用は補助対象とならない
- 専ら補助事業のために利用するクラウドサービスやWEBプラットフォーム等の利用費であって、自社の他事業と共有する場合は補助対象とならない
対象になる費用の例
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- AWSの費用
- Google Cloud Platformの費用
- Microsoft Azureの費用
外注費
概要
本事業遂行のために必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
注意事項
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- 外注先が機械装置等の設備やシステム等を購入する費用は対象にならない
- 外注先との書面による契約の締結が必要
- 機械装置等の製作を外注する場合は、「機械装置・システム構築費」に計上すること
- 外注先に、技術導入費、専門家経費を併せて支払うことはできない
- 外部に販売・レンタルするための量産品の加工を外注する費用は対象にならない
対象になる費用の例
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- 製品開発に関する加工、設計等
- 専門家経費
知的財産権等関連経費
概要
新製品・サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費
注意事項
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- 本事業の成果に係る発明等ではないものは、補助対象にならない。また、補助事業実施期間内に出願手続きを完了していない場合は、補助対象にならない
- 知的財産権の取得に要する経費のうち、以下の経費については、補助対象にならない:
- 日本の特許庁に納付する手数料等(出願料、審査請求料、特許料等)
- 拒絶査定に対する審判請求又は訴訟を行う場合に要する経費
- 国際規格認証の取得に係る経費については補助対象になる
- 事業で発生した知的財産権の権利は、事業者に帰属する
広告宣伝費・販売促進費
概要
本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、 動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費
注意事項
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- 補助事業以外の自社の製品・サービス等の広告や会社全体のPR広告に関する経費は対象外
- 補助事業実施期間内に広告が使用・掲載されること、展示会が開催されることが必要
対象になる費用の例
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- 広告作成
- 媒体掲載
- 展示会出店等
研修費
概要
本事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費
注意事項
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- 上限額 = 補助対象経費総額(税抜)の3分の1(第6回目公募で追加)
- 補助事業の遂行に必要がない教育訓練や講座受講等は補助対象外
- 教育訓練や講座受講等に係る費用の補助を希望する場合は、事業計画書中に下記の項目の情報を必ず記載すること(この5点が明記されていない場合や、不適切な訓練や講座が計上されている場合などは、研修費を補助対象経費とすることはできない)
- 研修名
- 研修実施主体
- 研修内容
- 研修受講費
- 研修受講者
- 研修受講以外の経費(入学金、交通費、滞在費等)は補助対象外
- 教育訓練給付制度など、本事業以外の国や自治体等からの教育訓練に係る補助・給付を重複して利用することはできない
対象にならない費用の例
- 従業員の人件費、旅費
- 飲食、娯楽、接待等の費用
- 不動産、株式、商品券等の金券
- 公道を走る車両の購入費・修理費・車検費用
- 船舶、航空機の購入費・修理費(第6回目公募で追加)
- 汎用品(パソコン、スマホ、複合機、家具等)の購入費
- 文書作成ソフトウェアの購入費
- フランチャイズ加盟料
- 販売する商品の原材料費
- 消耗品費(文房具等)
- 光熱水費
- 通信費(電話代、インターネット資料料金等)
- 雑誌購読料、新聞代
- 団体等の会費
- 事務所等に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料
- 税務申告、決算書作成等のために税理士、会計士等に支払う費用
- 訴訟等のための弁護士費用
- 収入印紙
- 振込手数料(代引手数料を含む)
- 両替手数料
- 公租公課(消費税及び地方消費税額等)
- 各種保険料
- 借入金などの支払利息及び遅延損害金
- 事業計画書・申請書・報告書等の事務局に提出する書類作成・提出に係る費用
- 中古市場において広く流通していない中古機械設備など、その価格設定の適正性がめいかくでない中古品の購入費(3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合等は除く)
- 上記のほか、公的な資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費
その他の注意事項
購入した機械装置等の貸与
海外子会社が主たる補助事業実施主体となる場合に限り、本事業で購入した機械装置等について貸与の契約を締結した上で、海外子会社に貸与することも可能です。
ただし、海外子会社への貸与価格が市場価格から乖離している場合など、取引形態によっては移転価格税制等の税制上の検討が必要な場合がありますので、ご注意ください。
補助対象経費は支払い確認できるものであることが必要
補助対象経費は、補助事業実施期間内に補助事業のために支払いを行ったことを確認できるものに限ります(外国通貨の場合は、支払日当日の公表仲値で円換算)。
支払いは、銀行振込の実績で確認を行います(手形払等で実績を確認できないものは対象外)。
相見積り
採択後、交付申請手続きの際には、本事業における契約(発注)先(海外企業からの調達を行う場合も含む)の選定にあたって、経済性の観点から、可能な範囲において相見積りを取り、相見積りの中で最低価格を提示した者を選定(一般の競争等)してください。
また、 単価50万円(税抜き)以上の物件等については原則として同一条件による相見積りを取ることが必要です。
相見積りを取っていない場合又は最低価格を提示した者を選定していない場合には、その選定理由を明らかにした理由書と価格の妥当性を示す書類を整備してください。
市場価格とかい離している場合は認められません。
したがって、申請の準備段階にて予め複数者から見積書を取得いただくと、採択後、速やかに補助事業を開始いただけます 。
消費税の取扱
補助金交付申請額の算定段階において、消費税等は補助対象経費から除外して算定してく ださい。
経費の妥当性
事業計画に対して過度な経費が見込まれているとき、価格の妥当性について十分な根拠が 示されない経費があるとき、その他本事業の目的や事業計画に対して不適当と考えられる経 費が見込まれているときは、交付決定の手続きに際して、事務局から補助対象経費の見直し を求めます。
担保権の設定について
補助事業により建設した施設等の財産に対し、抵当権などの担保権を設定する場合は、設 定前に、事前に事務局の承認を受けることが必要です。
補助事業遂行のための必要な資金調達をする場合に限り、担保権実行時に国庫納付をすることを条件に認められます。
なお、補助事業により整備した施設等の財産に対して根抵当権の設定を行うことは認められません。
リース会社との共同申請について
(第6回目公募で追加)
機械装置・システム構築費については、中小企業等がリース会社に支払うリース料から補助金相当分が減額されることなどを条件に、中小企業等とリース会社が共同申請をする場合には、その 購入費用について、リース会社を対象に補助金を交付することが可能です。なお、リース会社は1つの共同申請につき1社とし、適用する補助上限額、補助率は、各事業類型における中小企業等のものとなります。申請に当たっては、以下の条件を全て満たすことが必要となります。
- 中小企業等がリース会社に支払うリース料から補助金相当分が減額されていることが確認できる証憑として、(公社)リース事業協会が確認した「リース料軽減計算書」を事務局に提出 する必要があります。詳しくは、リース契約の締結を検討しているリース会社又は(公社)リ ース事業協会にお問い合わせください。
- 対象となるリース取引は、ファイナンス・リース取引に限ります。
- 対象となる経費は、リース会社が機械装置・システムの販売元に支払うこれらの購入費用に限ります。本スキームをご利用頂く場合、中小企業等がリース会社に支払うリース料そのものについては補助対象外となりますのでご注意ください。
- 購入する機械装置・システム等の見積もりの取得については、中小企業等が実施する必要があります。
- 取得する資産については、通常の補助事業により取得する資産と同様に、財産処分制限が課 されますので、リース期間については、特段の事情がない場合には、財産処分制限期間を含む期間となるよう設定してください。また、財産処分制限期間内にリース契約の内容の変更を行う場合には、改めて(公社)リース事業協会が確認した「リース料軽減計算書」を事務局に提出する必要があります。
- 万一財産処分を行う場合には、その他の本補助金を用いて取得した資産と同様に、残存簿価相当額又は時価(譲渡額)により、処分に係る補助金額を限度に返納する必要があります。
- リース会社に対しては、適切なリース取引を行うことについての誓約書(リース取引に係る宣誓書)の提出を求めます。
- セール&リースバック取引や転リース取引は本スキームの対象外となります。
- 本スキームを活用する場合のリース会社については、1回の公募回で申請できる件数や、通算の採択・交付決定件数の制限はありません。
- 割賦契約はリースには含みません。なお、建物の取得においてリース会社を利用する場合は、建物取得費は本補助金の対象とはなりません。