ものづくり補助金はどのような費用に使えるの?
以前の記事ではものづくり補助金の活用イメージを業種別に紹介しました。
では、具体的にどのような費用や経費が補助対象になるのか?
人件費は?
パソコン代は?
家賃は?
どのような費用がものづくり補助金の対象になるのか、これもまた要件が複雑でわかりにくいです。
基本的な考え方としてはこうです:
- 新しい事業のための50万円(税抜)以上の設備投資が必要(ソフトウェア・システム含まれる)
- 新しい事業に直接紐付けられる設備投資以外の費用も一部認められる
- 新しい事業をやらなかったとしても発生する費用、汎用性のあるものは対象外です
上で登場した人件費、パソコン、家賃は新しい事業をやらなかったとしても発生する費用で汎用性があるものなので補助金の対象にはなりません。
今回の記事では補助対象になる費用とならない費用の具体例を紹介します。
ものづくり補助金をどのようなものに使うか、イメージしやすくなると思うので見る価値ありです!
ものづくり補助金の対象になる費用・ならない費用
どんな経費が補助対象?まとめ表
対象経費の区分 | 注意点 | 補助金の類型にる制限 | 上限額(補助対象経費総額に対する割合) |
機械装置・システム構築費 | 単価50万円以上の設備投資が必ず必要 | - | - |
技術導入費 | 専門家経費と外注費を併せて払うことは不可 | - | 1/3 |
専門家経費 | 謝金単価に上限あり。技術導入費、外注費を併せて払うことは不可 | - | 1/2 |
運搬費 | - | - | |
クラウドサービス利用費 | - | - | |
原材料費 | 試作品開発のためのものに制限 | - | - |
外注費 | 技術導入費、専門家経費を併せて払うことは不可 | - | 1/2 |
知的財産権等関連経費 | - | 1/3 | |
海外旅費 | 国内旅費は対象外 | グローバル展開型のみ対象 | 1/5 |
広告宣伝・販売促進費 | 低感染リスク型ビジネス枠のみ対象 | 1/3 |
対象経費の区分
機械装置・システム構築費
概要
-
- 専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費
- 専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用に要する経費
- 1若しくは2と一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費
注意事項
-
- 生産性向上に必要な、防災性能の優れた生産設備等を補助対象経費に含めることは可能
- 機械装置又は自社により機械装置やシステムを製作・構築する場合の部品の購入に要する経費は「機械装置・システム構築費」となる
- 「借用」とは、いわゆるリース・レンタルをいい、交付決定後に契約したことが確認できるもので、補助事業実施期間中に要する経費のみとなる。したがって、契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業実施期間分が対象となる
- 「改良・修繕」とは、本事業で新規に購入又は本事業のために使用される機械装置等の機能を高めることや耐久性を増すために行うものをいう
- 「据付け」とは、本事業で新規に購入又は本事業のために使用される機械・装置の設置と一体で捉えられる軽微なものに限る
- 3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合には、中古設備も対象になる
- グローバル展開型において、海外子会社が主たる補助事業実施主体となる場合に限り、本事業で購入した機械装置等について貸与の契約を締結した上で、海外子会社に貸与することも可能。ただし、海外子会社への貸与価格が市場価格から乖離している場合など、取引形態によっては移転価格税制等の税制上の検討が必要な場合があるので注意が必要
対象になる費用の例
-
- 設備、専用ソフトの購入やリース等
- 機械装置の運搬費
技術導入費(上限額=補助対象経費総額の1/3)
概要
本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費
注意事項
-
- 知的財産権を所有する他者から取得(実施権の取得を含む)する場合は書面による契約の締結が必要となる
- 技術導入費支出先には、専門家経費、外注費を併せて支払うことはできない
専門家経費(上限額=補助対象経費総額の1/2)
概要
本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費
注意事項
-
- 本事業の遂行に専門家の技術指導や助言が必要である場合は、学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費を補助対象とすることができる(以下の謝金単価に準じるか、依頼内容に応じた価格の妥当性を証明する複数の見積書を取得することが必要(ただし、1日5万円が上限となる))
- 専門家の謝金単価は以下の通りとする(消費税抜き):
- 大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師等:1日5万円以下
- 准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ等:1日4万円以下
- 旅費は、全国中小企業団体中央会が定める「旅費支給に関する基準」のとおりとする
- 専門家経費支出対象者には、技術導入費、外注費を併せて支出することはできない
- 応募申請時の事業計画の作成を支援した者は専門家経費の補助対象外とする
運搬費
概要
運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
注意事項
-
- 購入する機械装置の運搬料については、機械装置費に含めることとする
クラウドサービス利用費
概要
クラウドサービスの利用に関する経費
注意事項
-
- 専ら補助事業のために利用するクラウドサービスやWEBプラットフォーム等の利用費であって、自社の他事業と共有する場合は補助対象とならない
- 具体的には、サーバーの領域を借りる費用(サーバーの物理的なディスク内のエリアを借入、リースを行う費用)、サーバー上のサービスを利用する費用等が補助対象経費となる
- サーバー購入費・サーバー自体のレンタル費等は対象にならない
- サーバーの領域を借りる費用は、見積書、契約書等で確認できるものであって、補助事業実施期間中に要する経費のみとなる。したがって、契約期間が補助事業実施期間を超える場合の補助対象経費は、按分等の方式により算出された当該補助事業実施期間分のみとなる
- クラウドサービス利用に付帯する経費についても補助対象となる(例:ルータ使用料・プロバイダ契約料・通信料等)
- ただし、あくまでも補助事業に必要な最低限の経費が対象であり、販売促進のための費用(ホームページの作成料等)は対象にならない
- パソコン・タブレット端末・スマー トフォンなどの本体費用は補助対象とならない
対象になる費用の例
-
- Amazon Web Servicesの費用
- Google Cloud Platformの費用
- Microsoft Azureの費用
原材料費
概要
試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費
注意事項
- 試作品の開発のために購入する原材料等の数量は必要最小限にとどめ、補助事業終了時に使い切ることを原則とする
- 補助事業終了時点で未使用残存品は補助事業の対象とならない
- 原材料費を補助対象経費として計上する場合は、受払簿(任意様式)を作成し、その受払いを明確にするとともに、試作・開発等の途上において発注した仕損じ品やテストピース等を保管しておく必要がある
- 保管が困難なものは写真撮影による代用も可
外注費(上限額=補助対象経費総額の1/2)
概要
新製品・サービスの開発に必要な加工や設計(デザイン)・検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
注意事項
-
- 外注先が機械装置等の設備やシステム等を購入する費用は対象にならない(グローバル展開型において、海外子会社へ外注する場合を除く)
- 外注先との書面による契約の締結が必要
- 機械装置等の製作を外注する場合は、「機械装置・システム構築費」に計上すること(グローバル展開外において、海外子会社に外注する場合を除く)
- 外注先に、技術導入費、専門家経費を併せて支払うことはできない
- グローバル展開型において、海外子会社が主たる補助事業実施主体となる場合に限り、本事業の補助対象経費の区分に該当する費用において、経費総額の過半を海外子会社に外注することが可能。ただし、海外子会社への外注価格が当該業務委託の市場価格から乖離している場合など、取引形態によっては移転価格税制等の税務上の検討が必要な場合があるので注意が必要。
知的財産権等関連経費(上限額=補助対象経費総額の1/3)
概要
新製品・サービスの開発成果の事業化にあたり必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や外国特許出願のための翻訳料など知的財産権等取得に関連する経費
注意事項
-
- 本事業の成果に係る発明等ではないものは、補助対象にならない。また、補助事業実施期間内に出願手続きを完了していない場合は、補助対象にならない。
- 知的財産権の取得に要する経費のうち、以下の経費については、補助対象にならない:
- 日本の特許庁に納付する手数料等(出願料、審査請求料、特許料等)
- 拒絶査定に対する審判請求又は訴訟を行う場合に要する経費
- 国際規格認証の取得に係る経費については補助対象になる
- 事業で発生した知的財産権の権利は、事業者に帰属する
海外旅費(グローバル展開型のみ 上限額=補助対象経費総額の1/5)
概要
海外事業の拡大・強化等を目的とした、本事業に必要不可欠な海外渡航及び宿泊等に要する経費
注意事項
-
- 旅費は、全国中小企業団体中央会が定める「旅費支給に関する基準」の通りとする
- 国内旅費や本事業と関係が認められない海外旅費は、補助対象にならない。交付申請時に、海外渡航の計画を予め提出することが必要
- 一度の渡航に随行できるのは、専門家含め2名までとする
広告宣伝費・販売促進費(低感染リスク型ビジネス枠のみ 上限額=補助対象経費総額の1/3)
概要
本事業で開発する製品・サービスに係る広告(パンフレット、 動画、写真等)の作成及び媒体掲載、展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費
注意事項
-
- 補助事業以外の自社の製品・サービス等の広告や会社全体のPR広告に関する経費は対象外
- 補助事業実施期間内に広告が使用・掲載されること、展示会が開催されることが必要
- 出張旅費や交際費は補助対象とならない
対象になる費用の例
-
- 広告作成
- 媒体掲載
- 展示会出店等
対象にならない費用の例
- 補助事業期間中の販売を目的とした製品、商品等の生産に係る機械装置・システム構築費以外の諸経費(テスト販売を除く)
- 工場建屋、構築物、簡易建物(ビニールハウス、コンテナ、ドームハウス等)の取得費用、およびこれらを作り上げるための組み立て用部材の取得費用
- 設置場所の整備工事や基礎工事に要する費用
- 事務所等に係る家賃、保証金、敷金、仲介手数料
- 通信費(電話代、インターネット資料料金等)
- 不動産、株式、商品券等の金券
- 消耗品費(文房具等)
- 飲食、娯楽、接待等の費用
- 公道を走る車両の購入費・修理費・車検費用
- 税務申告、決算書作成等のために税理士、会計士等に支払う費用
- 訴訟等のための弁護士費用
- 収入印紙
- 公租公課(消費税及び地方消費税額等)
- 各種保険料
- 借入金などの支払利息及び遅延損害金
- 事業計画書・申請書・報告書等の事務局に提出する書類作成・提出に係る費用
- 汎用品(パソコン、スマホ、複合機、家具等)の購入費
中古市場において広く流通していない中古機械設備など、その価格設定の適正性が明確でない中古品の購入費(3者以上の中古品流通事業者から型式や年式が記載された相見積もりを取得している場合等は除く) - 従業員の人件費
- 文書作成ソフトウェアの購入費
- フランチャイズ加盟料
- 販売する商品の原材料費(テスト販売除く)
- 光熱水費
- 雑誌購読料、新聞代
- 団体等の会費
- 振込手数料(代引手数料を含む)
- 両替手数料
- 上記のほか、公的な資金の用途として社会通念上、不適切と認められる経費
その他の注意事項
設備投資の必要性
ものづくり補助金では、単価50万円(税抜)以上の機械装置等への設備投資が必要です。
機械装置・システム構築費以外の経費の上限
「機械装置・システム構築費(海外子会社への外注費における機械装置・システム構築費にあたる経費を含む)」以外の経費は、総額で500万円(税抜)までが補助上限額となっています。グローバル展開型の場合は補助上限額が1,000万円(税抜)となっています。
補助対象経費は支払い確認できるものであることが必要
補助対象経費は、補助事業実施期間内に補助事業のために支払いを行ったことを確認でき
るものに限ります(外国通貨の場合は、支払日当日の公表仲値で円換算)。
支払いは、銀行振込の実績で確認を行います(手形払等で実績を確認できないものは対象外)。
少額の現金やクレジットカードで支払う場合は、事前に事務局に相談することが必要です。
相見積り
採択後、交付申請手続きの際には、本事業における契約(発注)先(海外企業からの調達を行う場合も含む)の選定にあたって、経済性の観点から、可能な範囲において相見積りを取り、相見積りの中で最低価格を提示した者を選定(一般の競争等)してください。
また、 単価50万円(税抜)以上の物件等については原則として同一条件による相見積りを取ることが必要です。
相見積りを取っていない場合又は最低価格を提示した者を選定していない場合には、その選定理由を明らかにした理由書と価格の妥当性を示す書類を整備してください。
市場価格とかい離している場合は認められません。
したがって、申請の準備段階にて予め複数者から見積書を取得いただくと、採択後、速やかに補助事業を開始いただけます 。
消費税の取扱
補助金交付申請額の算定段階において、消費税等は補助対象経費から除外して算定してく ださい。