(最終更新日:2024年3月12日)
令和5年度補正予算中小企業生産性革命推進事業で実施するものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金を、通称「ものづくり補助金」といいます。
生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者の設備投資、IT導入、国内外の販路開拓、事業承継・引継ぎを補助し、切れ目なく継続的に、成長投資の加速化と事業環境変化への対応を支援するものです。
この記事では、ものづくり補助金の申請枠とそれぞれの要件について解説します!
また、記事の後半ではものづくり補助金の対象とならない事業についても紹介します。
1.ものづくり補助金の基本要件
はじめに、すべての申請者が満たすべき「基本要件」は以下のとおりです。
要件 | 具体的内容 |
---|---|
A 給与支給総額の増加 | 事業計画期間(3〜5年、以下同様)において、給与支給総額を年平均成長率1.5%以上増加させること (被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年平均成長率 1%以上増加させること。被用者保険の任意適用とは、従業員規模 51 名~100 名の企業が短時間労働者を厚生年金に加入させることを指します。) 給与支給総額とは、全従業員(非常勤を含む)及び役員に支払った給与等(給料、賃金、賞与及び役員報酬等は含み、福利厚生費、法定福利費や退職金は除く)をいいます。 |
B 最低賃金の引き上げ | 事業計画期間において、事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を、毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とすること。 |
C 付加価値額の増加 | 事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年平均成長率 3%以上増加させること。 付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいいます。 |
基本要件が未達の場合、補助金の返還義務が発生します。
給与支給総額の増加目標が未達の場合
- 補助事業を完了した事業年度の翌年度以降、事業計画終了時点において、給与支給総額の年平均成長率1.5%以上増加目標が達成できていない場合は、導入した設備等の簿価又は時価のいずれか低い方の額のうち補助金額に対応する分(残存簿価等×補助金額/実際の購入金額)の返還を求めます。
- ただし、付加価値額が目標通りに伸びなかった場合に給与支給総額の目標達成を求めることは困難なことから、給与支給総額の年平均成長率が「付加価値額の年平均成長率/2」を超えている場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記の補助金一部返還を求めません。
- また、給与支給総額を用いることが適切ではないと解される特別な事情がある場合には、給与支給総額の年平均成長率に代えて、一人当たり賃金の増加率を用いることを認めます。
事業場内最低賃金の増加目標が未達の場合
- 補助事業を完了した事業年度の翌年度以降、事業計画期間中の毎年3月末時点において、事業場内最低賃金の増加目標が達成できていない場合は、補助金額を事業計画年数で除した額の返還を求めます。
- ただし、付加価値額増加率が年平均成長率1.5%に達しない場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記の補助金一部返還を求めません。
2. ものづくり補助金の申請枠と追加要件
次に、申請枠と対象となる事業、申請枠ごとの追加要件を見ていきましょう。
ものづくり補助金の申請枠と対象事業
申請枠 | 類型 | 対象となる事業 |
---|---|---|
省力化(オーダーメイド)枠 | ー | 人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等を支援 |
製品・サービス高付加価値 | 通常類型 | 付加価値の高い革新的な製品・サービスの開発に取り組むために必要な設備投資等を支援 |
成長分野進出類型(DX・GX) | 今後成長が見込まれる分野(DX・GX)は成長分野進出類型とし、通常類型よりも補助上限額・補助率において重点支援 | |
グローバル枠 | ー | 海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みに必要な設備投資等を支援 |
ものづくり補助金の申請枠ごとの追加要件
申請枠 | 類型 | 基本要件に加えた追加要件 |
---|---|---|
省力化(オーダーメイド)枠 | ー | 以下の全ての要件に該当するものであること。 1) 3~5年の事業計画期間内に、補助事業において、設備投資前と比較して労働生産性が2倍以上となる事業計画を策定すること ※ 労働生産性は「付加価値額(付加価値額の算出が困難な場合は生産量)/(労働人数×労働時間)」とする。完全自動化の場合は「(労働人数×労働時間)」を便宜的に「0.1」とする。 2) 3~5年の事業計画期間内に、投資回収可能な事業計画を策定すること ※ 投資回収年数は「投資額/(削減工数×人件費単価)」とする。 3) 外部SIerを活用する場合、3~5年の事業計画期間内における保守・メンテナンス契約を中小企業等とSIer間で締結することとし、SIerは必要な保守・メンテナンス体制を整備すること ※事業終了後、実績報告時点で確認をします。 4) 本事業に係る資金について金融機関(ファンド等を含む。)からの調達を予定している場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、金融機関による確認書を提出いただく必要があります。金融機関は、事業所の所在地域にある必要はございませんので、任意の機関を選定してください。 |
製品・サービス高付加価値枠 | 通常類型 | 詳細は追って公表 |
成長分野進出類型(DX・GX) | 詳細は追って公表 | |
グローバル枠 | ー | 詳細は追って公表 |
3. ものづくり補助金の対象とならない事業
以下に該当する事業はものづくり補助金の対象となりません。
該当すると判断された場合は不採択、採択決定の取消、交付決定の取消となります。
- 本公募要領にそぐわない事業
- 事業の主たる課題の解決そのものを他者へ外注又は委託する事業
- 試作品等の製造・開発の主たる部分を他者に委託し、企画だけを行う事業
- 事業の実施にあたり、実質的に労働を伴わない事業、専ら資産運用的性格の強い事業
(例:無人駐車場(コインパーキング等)運営にあたって単に機械装置の購入のみを行う事業等) - 購入した設備を自ら占有し、事業の用に供することなく、特定の第三者に長期間賃貸させるような事業
- 主として従業員の解雇を通じて、要件や目標の達成のために付加価値額等を操作させるような事業
- 公序良俗に反する事業
- 法令に違反する及び法令に違反する恐れがある事業並びに消費者保護の観点から不適切であると認められる事業
- 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和 23 年法律第 122 号)第 2 条各項に定める事業
- 「補助対象経費」の各区分等に設定されている上限を超える補助金を計上する事業
- その他申請要件を満たさない事業
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