審査の際に加点される(減点される)項目とは?
(最終更新日:2023年5月23日)
以前の記事では補助金の採択決定にあたり考慮される審査項目について紹介しました。
今回の記事では加点項目について紹介します。
なお、第10回公募でも減点項目が設定されているのでそれに関してもこの記事でふれます。
加点項目は次の9つです:
- 売上高30%以上減少していること
- 全従業員の10%以上に対して最低賃金+30円以内 + 最低賃金枠に応募すること
- EBPM(証拠に基づく政策立案)の取組に対して継続的な情報提供を行うこと
- パートナーシップ構築宣を行っていること+大規模賃金引上枠かグリーン成長枠に応募すること
- 中小企業活性化協議会等から支援を受けていていくつかの要件に該当すること
- 特定事業者であり、中小企業者でない者であること
- 同じサプライチェーンに属する事業者が連携して事業に取り組む場合
- 健康経営優良法人に認定を受けていること(第10回公募で追加)
- えるぼし、または くるみんの認定を受けていること(第10回公募で追加)
緊急事態宣言の影響を受けたり、ワーク・ライフ・バランス等の推進に取組んでいたりする事業者は加点項目対象かどうか、必ず確認しましょう!
売上高30%以上減少していること
令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、2022年1月以降のいずれかの月の売上高が対前年(又は対前々年)同月比で30%以上減少していること。
全従業員の10%以上に対して最低賃金+30円以内 + 最低賃金枠に応募すること
2021年10月から2022年8月までの間で、3か月以上、最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員数の10%以上いること。この要件を満たした上で、最低賃金枠に応募することで加点対象になります。
EBPMの取組に対して継続的な情報提供を行うこと
データに基づく政策効果検証・事業改善を進める観点から、経済産業省が行うEBPMの取組に対して、採否に関わらず、継続的な情報提供が見込まれるものであるか。
パートナーシップ構築宣言 + 大規模賃金引上枠かグリーン成長枠に応募すること
応募締切時点で「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイト(https://www.biz-partnership.jp)において宣言を公表している事業者。この要件を満たした上で大規模賃金引上枠かグリーン成長枠に応募することで加点対象になります。
中小企業活性化協議会等から支援を受けていていくつかの要件に該当すること
まず、中小企業活性化協議会等から以下の計画に関する支援を受けている必要があります(同計画に基づき事業譲渡を受ける、又は受けた者を含みます):
- 中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)が策定を支援した再生計画
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構が策定を支援した再生計画
- 産業復興相談センターが策定を支援した再生計画
- 株式会社整理回収機構が策定を支援した再生計画
- 「私的整理に関するガイドライン」に基づいて策定した再建計画
- 中小企業の事業再生等のための私的整理手続(中小企業版私的整理手続)に基づいて策定した再生計画(令和4年4月15日から適用開始)
- 産業競争力強化法に基づき経済産業大臣の認定を受けた認証紛争解決事業者(事業再生ADR事業者)が策定を支援した事業再生計画
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構が出資した中小企業再生ファンドが策定を支援した再生計画
- 株式会社東日本大震災事業者再生支援機構が同機構法第19条の規定による支援決定を行った事業再生計画
- 株式会社地域経済活性化支援機構が株式会社地域経済活性化支援機構法第25条の規定による再生支援決定を行った事業再生計画
- 特定調停法に基づく調停における調書(同法第17条第1項の調停条項によるものを除く。)又は同法第20条に規定する決定において特定された再生計画
上記要件を満たした上で、次のいずれかに該当する必要があります:
-
- 再生計画等(上記計画のうち1−7が対象)を「策定中」の者
なお、1−7における「策定中」の定義は以下のとおりです:-
- ~3「再生計画策定支援(第二次対応)決定」以後
- 企業再生検討委員会による「再生計画着手承認」以後
- 同ガイドラインに基づく「一時停止の要請」以後
- 同手続に基づく「一時停止の要請」以後
- 事業再生ADR制度の「制度利用申請正式受理」以後
-
- 再生計画等(上記計画のうち1−7が対象)を「策定中」の者
-
- 再生計画等を「策定済」かつ応募締切日から遡って3年以内(令和2年7月1日以降)に再生計画等が成立等した者
特定事業者であり、中小企業者でない者であること
まず、次のものに該当しないことが必要です:
- 中小企業者
- 中小企業者等に含まれる中小企業者以外の法人
(中小企業者についてはこちらの記事で解説しています。)
その上で、以下のいずれかに該当する必要があります:
- 下表の条件を満たす「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」第4条による改正後の「中小企業等経営強化法」第2条第5項に規定する会社又は個人:
業種 | 資本金の額又は出資の総額 | 常勤従業員数 |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業 | 10億円未満 | 500人 |
卸売業 | 400人 | |
サービス業又は小売業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 300人 | |
その他の業種(上記以外) | 500人 |
- 次の条件を満たす生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会
-
- 直接又は間接の構成員の3分の2以上が常時300人以下の従業員を使用するもの(卸売業を主たる事業とする事業者については400人)
- 資本金の額又は出資金の総額が10億円未満
-
- 下表の条件を満たすもの
組織 | 資本金の額又は出資の総額 | 常勤従業員数 |
---|---|---|
酒造組合 | 10億円未満 | その直接又は間接の構成員たる酒類製造業の3分の2以上が、常時500人以下の従業員を使用するもの |
酒造組合連合会 | ||
酒造組合中央会 | ||
酒販組合 | その直接又は間接の構成員たる酒類販売業者の3分の2以上が、常時300人以下の従業員を使用するもの(酒類卸売業者については400人) | |
酒販組合連合会 | ||
酒販組合中央会 |
- 内航海運組合、内航海運組合連合会でその直接又は間接の構成員たる内航海運事業を営む者の3分の2以上が常時500人以下の従業員を使用する者であって10億円未満の金額をその資本金の額又は 出資の総額とするものであるもの。
- 技術研究組合で直接又は間接の構成員の3分の2以上が以下が上記1の者又は企業組合か協同組合
同じサプライチェーンに属する事業者が連携して事業に取り組む場合
複数の事業者が連携して事業に取り組む場合であって、同じサプライチェーンに属する
事業者が連携して申請する場合には、加点の対象となります。
加点を受ける場合には、 直近1年間の連携体間の取引関係(受注金額又は発注金額)が分かる書類について、決算書や売上台帳などの証憑とともに追加で提出した上で、電子申請の際、該当箇所にチェックをします。なお、連携体に含まれる全ての事業者が、連携体内での取引関係があることが必要となります。
健康経営優良法人に認定を受けていること(第10回公募で追加)
令和4年度に健康経営優良法人に認定を受けている場合には、加点の対象となります。
えるぼし、または くるみんの認定を受けていること(第10回公募で追加)
以下のいずれかに該当する場合には、加点の対象となります。
- 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)に基づく認定(えるぼし1段階目~3段階目又はプラチナえるぼしのいずれかの認定)を受けている者又は従業員数 100 人以下であって、「女性の活躍推進データベース」に女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を公表している者
- 次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく認定(くるみん、トライくるみん又はプラチナくるみんのいずれかの認定)を受けた者又は従業員数 100 人以下であって、「一般事業主行動計画公表サイト(両立支援のひろば)」に次世代法に基づく一般事業主行動計画を公表している者
減点項目について
グリーン成長枠、産業構造転換枠
すでに過去の公募回で補助金交付候補者として採択されている又は交付決定を受けている場合には、一定の減点を受けることになります。加えて、別事業要件及び能力評価要件についても審査され、追加での減点となる場合もあります。これらについては、別事業要件及び能力評価要件の説明書に基づき評価されます。
複数の事業者が連携して事業に取り組む場合
連携体の必要不可欠性について審査された結果、減点の対象となる場合があります。これについては、連携の必要性を示す書類(代表申請者用)に基づき審査されます。
事業による利益が第三者のものになる事業に取り組む場合
補助事業の実施により発生した付加価値額の大部分が、補助事業者以外にわたる事業等は、事業再構築に挑戦する中小企業等の成長を支援し、日本経済の構造転換を促す本事業の目的に沿わないため、減点の対象となります。