事業再構築補助金 - 圧縮記帳について

事業再構築補助金 圧縮記帳が認められました

8月11日に事業再構築補助金のHPにて圧縮記帳を認められることが明らかになりました。
国税庁からの回答はこちらから確認することができます。

この発表を見て、「圧縮記帳って何だったかな?」と思った方も多いと思いますので、今回の記事では

  • 圧縮記帳とは何か
  • 圧縮記帳が認められることの効果
  • 圧縮記帳を使用する際の注意点

 

についてお話していきます。

 

 

圧縮記帳とは

まず圧縮記帳とは、会計処理の一つです。
税務上の課税の繰延を行うことで、その年度の税負担を軽減する効果をもちます。

例えば、有形固定資産の取得に際して収益(補助金等)が発生した場合、その取得価額を減額(圧縮)することにより圧縮損を計上し、収益金額と圧縮損とを相殺してその年度の税負担を軽減する効果をもたせます。

特定の有形固定資産を購入するために国に補助金を申請しても、同時に計上された補助金受贈益には税金がかかります。

それによって、十分な投資ができず補助金の効果が薄れてしまうことが考えられます。
このような場合に圧縮記帳を認めることにより、補助金受贈益について課税される税金を将来に繰延ることができ、補助金の効果を十分に受けられるように配慮しているのです。

 

 

圧縮記帳を使用する効果

上記にあるように、圧縮記帳を行うことによって補助金等による収益金額が減額され、その年度の税負担が軽減されます。

事業再構築補助金を使用して固定資産を取得した場合の仕訳例を見てみましょう。

圧縮記帳には、直接減額方式(損金経理により帳簿価額を直接減額する方法)と、積立金方式(確定決算または決算確定の日までに剰余金の処分により圧縮積立金を積み立てる方法)と2種類ありますが、ここでは直接減額方式を用いて紹介します。

 

◇500万円の機械(耐用年数8年)を手元金200万円と補助金300万円で購入した場合◇

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(1) 補助金受取時の仕訳。実際には事業再構築補助金は設備投資後に支払われますが、単純化のために先に支払われると仮定しています。

(2) 機械購入時の仕訳。

(3) 圧縮記帳の会計処理。補助金の受取額と同額を圧縮損として損失を計上し、機械の取得原価を減少させます。補助金と同額だけ収入を減少させるので、税金が減額されます。

(4) 決算時の減価償却費の計上(定額法、耐用年数8年)
(500 – 300) / 8 = 25

 

圧縮記帳をしなかった場合、減価償却費は62.5万円( 500 / 8 )であるのに対し、圧縮記帳を適用すると25万円となり、圧縮記帳を適用した場合のほうが減価償却費が少なくなります。

次年度以降についても減価償却費が少なくなり、その分利益が増えることになります。

その結果、税金がその分増えることになるので、実質的に税の繰延となるわけです。

 

圧縮記帳を使用する注意点

圧縮記帳は事業に必要な機械の購入など固定資産に使用できます。

上記で圧縮記帳をすることで、課税の繰延ができると記載しましたが、あくまで繰延であり、将来的には圧縮記帳をしなかった場合と同額の税金を支払うことになります。

税金を一度で支払わなくて良くなるだけで、税金自体が免除されるわけではありません。

結果的に支払う税金は同額になりますが、税金の繰延によって確保した資金は事業に再投資できますので圧縮記帳は積極的に活用をすべきと考えます。

圧縮記帳を活用して、補助金を最大限に生かすことが出来れば、さらに事業の発展につながるのではないのでしょうか。

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